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情報保存Q&A 3.アーカイバル容器

Q1 アーカイバル容器って何ですか?
アーカイバル容器とは、長期に保存し活用してもらう資料を、現在の状態で安寧に保存するための「いれもの」を指します。文書館では桐箱が代表的で、伝統的に使われてきたことは周知の通りですが、品質の良い桐箱は高価で、たくさんの公文書資料に採用することはできません。一方、安価な段ボール箱は酸性の紙でできているのが普通で、段ボール箱から発生する酸が収納した資料に悪い影響を 与えることがわかっています。 このため世界では60年代から、日本では80年代の後半から、資料の長期保存に適した品質の良い厚紙や段ボールを使った「いれもの」が開発され、普及していきました。要求される基本的な品質は、セルロース成分が多くリグニン含有量が極めて少ないこと、酸を含まないことです。こうした「いれもの」をアーカイバル (長期・安定保存のための)な容器と呼びます。

Q2 アーカイバル容器にはどんな種類がありますか?  

セルロース分が豊富なケミカル・パルプを原料に炭酸カルシウムを一緒に漉き込んだ段ボールや厚紙が主材料で、弱アルカリ(pH 7.5〜8.5)になるように調整してあります。組み立て用の接着剤や留め具も、長期にわたり安定性を保持するものが使用されています。また、アルカリやわずかな添加剤にも敏感な資料向けの無酸・無アルカリの封筒や箱、伝統的な桐の箱と同等の湿度調整機能をもつ箱も開発されており、ユーザーからのほとんどのニーズにお応えできます。

Q3 アーカイバル容器ってなぜ必要なのですか?

せっかく貴重な資料を収集整理しても、それを長期に収納していく「いれもの」が資料の劣化を導き出す原因になっている場合があります。アーカイバル容器は、これまでの酸性の素材を使った「いれもの」のような、資料への汚染がありません。外側からの酸性汚染物質はもちろん、資料そのものからでる酸性ガスもシャットアウトできます。劣化を促進する光やホコリから資料を守ります。温度と湿度の急激な変化への優れた緩衝機能を持っています。不適切な取り扱いからも資料を守ることができます。アーカイバル容器は、原物資料の保存のための身近な方法として、マイクロ化などの情報の代替や、修復などの他の技術と組み合わせても広く利用されています。 ただし、アーカイバル容器は魔法の「いれもの」ではありません。その「いれもの」を保管する書庫等の大きな環境、とりわけ温度・湿度を安定させることが前提になります。例えば高い温度と湿度の中に放置すれば、虫やカビが発生します。伝統的な「目通し」、「風通し」こそ、アーカイバル容器を上手に使っていただくための必須の条件です。

(文責 会員企業 (株)資料保存器材)

 

 

 

 

 

 

 

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