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情報保存Q&A 4.くん蒸

Q1 くん蒸って何ですか?
文化財、絵画、書籍、貴重資料など「人」にとって固有の文化の証であったり、芸術性に優れた物であったりしても、「ムシ」にとっては単なるエサにすぎません。「カビ」にとっても居心地の良い環境を提供してもらっているということになります。 これら保存すべき対象物の素材は様々で薬害を受けやすい物がほとんどです。液体や固体(粉剤)等を直接吹きかけるわけにはいきません。 そこで材質の中まで浸透し、又、材質への残留を押さえたものがガス(気体)製剤です。 くん蒸は、「ムシ・カビ」におかされた展示・収蔵空間に薬剤をガス化して送り込み、殺虫・殺卵・殺カビを行う仕事です。 通常、施設では年1回、虫害、カビ害が発生したときは随時行われます。
Q2 くん蒸ってどんな方法がありますか?
密閉くん蒸・被覆くん蒸・くん蒸庫くん蒸に大別できます。 密閉くん蒸は展示室・収蔵庫・書庫など部屋も含めて処理する方法です。 被覆くん蒸は大型の物では移築民家など、小規模の対象物や、どうしても外部へ持ち出せないもの、他にくん蒸する安全な場所がない場合などがあります。 くん蒸庫くん蒸はその名の通り「くん蒸庫」へ対象物をいれて行う方法です。 所定の時間くん蒸後、あらかじめ(財)文化財虫害研究所から頒布された供試虫・菌を中に設置し、くん蒸終了後、上記研究所へ送り効果の判定を受けます。殺虫・殺卵効果100%、殺カビ効果80〜100%で合格の判定書がでます。目に見えないガスの効果はこの判定書とくん蒸ガス濃度データ、施工写真を報告書に添付したものをお渡しして終了となります。
Q3 くん蒸ってなぜ必要なのですか?
大量の文化財・絵画・書籍・貴重資料等をいちどきに処理するには、処理時間を考えても「くん蒸」による手段しかありません。しかし、問題はここに至る迄の過程が重要です。 それは日常の環境管理をどう考え、実践しているかということです。 トラップによる侵入昆虫等の同定・エアーサンプラーによる浮遊付着菌の同定、捕獲場所・捕獲数の確認と侵入原因の解明・侵入阻止の対策が重要となります。 都市の中心部にある施設では大気中に放出されたCO2・NOX、展示・収蔵施設内の展示ケースや建築部材からでてくるホルムアルデヒド・ギ酸など劣化につながる要因は身近に多くあります。これら有害ガスを測定することにより環境を把握することも重要です。 くん蒸は、これら環境管理と組み合わせて行うことをおすすめします。 なお、これまでのくん蒸ガスの主流であった臭化メチルが2005年に使用規制されるため、これに代わるくん蒸ガスが各社で鋭意開発されています。

(文責 会員企業 関東港業(株))

 

 

 

 

 


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