Q1 レプリカって何ですか?
レプリカは、日本では主にゴルフコンペや球技大会などでの優勝カップの複製という意味で使われています。世界的には、絵画や彫刻の複製を意味します。博物館で色々な理由で本物を出したくない場合によく利用されます。展示物の脇に添えられるキャプションボードによく(複製)という表示があるあれですね。元資料をそのまま複製すればよいので、「何だ、簡単じゃないか」と言われそうですが、これがなかなか大変なのです。形や色は勿論、表面の艶や材質感、古い感じなどを再現しようとすると、むしろ新たに創造するよりも難しい面があります。レプリカは目的によって、今あるものをそのまま複製する「複製」と、できた当時の状態を再現する「復元」に分けられます。またレプリカは、対象史料により、仏像・彫刻や工芸品などの立体物と、掛軸、巻子、文書、屏風、絵馬などの平面物に分けられますが、私たちJHKではこの平面物に深く関わっています。
Q2 レプリカを作るにはどんな方法がありますか?
平面物のレプリカを作る場合、その目的や予算に応じていくつかの方法があります。従来からの伝統技法であるコロタイプ印刷、進歩の早いデジタル技術を取り入れた多色オフセット印刷、色再現の進んだインクジェットプリンターを使った簡便的な方法などが使われています。いずれの方法も先ず原本の写真を撮影することからスタートします。その後画像処理、印刷、手彩色、表装加工などの長い工程を通って制作されています。大きさも色も材質もマチマチで1点1点同じ作り方はないといってよいほど多岐にまたがっています。 小さなものでは付箋やハガキから大きいものでは5m角の絵図など様々ですが、殆どが貴重な文化財である原本の取り扱いには、充分過ぎるほど注意を払って作業しています。
Q3 レプリカってなぜ必要なのですか?
博物館、資料館等で実物資料が手に入らない場合、長期的に展示したい場合、頻繁に閲覧させたい場合などに、レプリカが必要になってきます。博物館や資料館等は、原本の保存・保管という役割と展示・閲覧・公開普及という相反する役割を担っていますが、レプリカがこれらの役割を両立させているとも言えます。来館者はあくまで本物の史料を鑑賞に来るわけですから、レプリカは本物そっくりでなければなりません。貴重な文化財を保護するためにも、鑑賞にたえうるレプリカを作っていきたいものです。
(文責 会員企業 ナカシャクリエイテブ(株))