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情報保存Q&A 9.マイクロフィルムの保存


Q1 マイクロフィルムの素材にはどのような種類がありますか?


白黒のマイクロフィルムの断面は図のようになっています。支持体(ベース)の素材は、歴史的に見ると銀塩写真がマイクロフィルムとしてはじめて使用された1928年頃の素材はニトロセルロース(NC)で、1954年頃から酢酸セルロース(TAC)が使われ始め1958年以降は全てTACになり、1973年頃から63ミクロンのシンパックといわれるフィルムからポリエスター(PET)が加わり、PETベースに切り替わるまではTACベースと併用されていました。1993年以降は全てPETベースが使用されています。それ以外の素材は、画像としての銀粒子とバインダーとしてのゼラチンです。


Q2 マイクロフィルムはどのような原因で劣化するのですか?
マイクロフィルムの劣化は、使用されている素材に悪影響を及ぼす要因が劣化の原因になります。バインダーのゼラチンは湿度の影響で、低湿でひび割れ、高湿でカビが生えます。画像銀は酸化性の雰囲気(油性のペンキ、接着剤、酸性紙、排気ガスなど)で、銀鏡や現像銀が黄色のコロイド銀に変わるマイクロブレミッシュが起きます。NCベースとTACベースは水分があると加水分解(化学反応)を起こします。PETベースはペットボトルと同じ素材で安定しています。  このようにマイクロフィルムの劣化の原因は、化学反応を促進する温度と湿度及び酸化性のガスです。そのほかには取り扱い時の問題として、フィルム面につく指紋、ゴミ、傷などと、現像処理が不完全のためにフィルムに残っている薬品など(残留チオ硫酸塩:水洗不良、残留銀:定着不良)での変色があります。

Q3 マイクロフィルムの最適な保存環境は?
 
1991年にTACベースの加水分解が確認されてから、ISOやJISで保存条件が見直され、1994年に改定されたJIS Z 6009-1994では表のようになっています。2000年に見直されたISO 18911:2000ではTACベースの銀-ゼラチンフィルムの保存条件はより低温低湿となり、永久保存条件で2℃20-50%RH、5℃20-40%RH、7℃20-30%RH、PETベースの銀・ゼラチンフィルムは21℃20-50%RHとなっています。

(文責 富士フイルム(株)産業機材事業部)


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