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情報保存Q&A  23.保存額装

Q1 保存額装とは何ですか?


典型的な例として「アメリカの独立宣言書」があります。アメリカ国民の精神的支柱と言えるものですから、これを見る権利は全ての国民にありますが、同時に国の宝として永久に後世に伝えていかねばなりません。このような場合は、チタニウムなど化学的に不活性の金属で底と蓋に分かれた額縁に、紫外線防止でガスや空気を通さない厚いガラスを持った完全密閉空間を作り、酸素に変えて比重の重いアルゴンガスなどを詰め、文書や紙作品自体から発生する悪性ガスを吸着するマットボードやマウントボードで資料や作品を挿むようにします。このような額縁はシールドパッケージと呼ばれる特殊なものですが、通常の額縁を使う場合でも、物理的に弱い紙資料・紙を基底材とする絵画作品、写真、布などを、資料や作品に悪影響を与えない材料や技法で額装し、資料の保存を行いながら、その公開や展示を果たす方法を保存額装と呼んでいます。

Q2 どのように作るのですか?


資料や作品の種類、作品の置かれる環境などに応じてフレーマーがコンサバターなど専門家と協議して製作します。アルミニウムのフレームで瓶詰のように簡便に額縁内にマイクロクライメイトを作り出し、湿度・温度のコントロールができるような額縁も製造されています。



Q3 一般的な材料や技法は?


グレージング― 額縁にはめられるガラスやアクリル板で資料・作品を鑑賞しながらそれを物理的に守ります。紫外線を99%防止、低反射で映り込みが無く鑑賞できるものが使われます。ガラスは物理的に強く伸び縮みがなく、経済的ですが、重くて割れる危険性があります。現在はガラスとほぼ同様な特性を持つ低反射アクリルが製造されていますが、高価なことが欠点です。
マットボード・マウントボード― 資料や作品とガラスの間に空間を作り、水蒸気の結露や写真の貼りつきを防ぎます。資料・作品の裏面に使われるマウントボードは裏面からの支持と強化を行います。資料・作品はこのマウントボードに水で戻せる接着剤を使用した和紙のヒンジなどで留められます。ボードは、いずれもリグニンを含まず、アルファセルローズで作られたコットンラグボードか化学パルプのボードで、多くの場合炭酸カルシウムで弱アルカリ性(pH7.5−9程度)に調整されたものが使われます。
フィラーボード― 無酸の中性ボードやコルゲートボードで主に湿度調整と作品の物理的保護を行います。
裏板(ダストカバー)― 通常多く使われるベニヤは使えません。ポリプロピレンの板などで資料・作品に悪影響を及ぼさない材料を使います。
額縁―木製の場合はアルミニウムの薄いシーリング・テープを内側に貼付け、木材からの酸の移行などを防ぎます。

 

 

(文責 ラーソン・ジュール・ニッポン梶@CXD事業部)

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